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第一回 「さだまさしの復讐劇」を開催しました

東京藝術大学澤和樹学長が、奏楽堂に毎回様々なゲストを迎える、学長と話そうコンサート「和樹の部屋」。その第一回が11月4日(月?祝)に開催されました。

記念すべき最初の客人は、さだまさしさん。箭内道彦美術学部教授を交えてのトーク、音楽、ダンス、初めてづくしの企画に、観客は大いに魅了されました。

初めて藝大を訪れた観客からは「藝大はお堅いイメージだったが、身近に感じることができた」「藝大の学長に、あんなにお茶目な一面があるとは知らなかった」「ヴァイオリンもオルガンも素晴らしい音色だった」などの感想が聞かれました。

【オープニング】 ?ヴィターリ:《シャコンヌ》 演奏:Vn 澤和樹? ? Org 廣江理枝

澤学長、セリで登場!!!

宝塚スターのように格好良く、セリから登場しました。

事前に、このセリの案を学長から言われた時、裏方はざわざわし、本公演のプロデューサーである箭内先生に相談しました。「終わりはどうしますか。セリから退場って、どこか縁起が悪いような気がしますし、今まで一回もやったことありませんし…」。当日のトークでも、箭内先生がさださんに相談。さださんも頭をひねり案を出してくださいました。相談の結果は、最後の写真をご覧ください。

オープニング曲は、さださん自身も若かりし頃に練習した曲。当時の運指、運弓を思い出し、「この曲をこんな憂鬱な気持ちで聞くのは、自分だけではないか」という感想。

そんな思いになることを知ってか知らずか、選曲した澤学長は「歓迎の音楽のつもりが、すみません」とにこやかに謝り、「さだまさしの復讐劇」と名付けたコンサートが始まりました。

トークは、さださんが東京藝大を目指したこと、澤学長も経済的にはさほど恵まれた環境ではなかったこと、同じヴァイオリン指導者に習っていたことなど、二人とも共通点を多く持ちながら、全く異なる世界へと羽ばたいたことが語られました。さださんの人を引き付ける話に、負けず劣らず、澤学長は韻を踏んだ言葉(ダジャレ)で応戦。澤学長のエクササイズに通っている話に脱線しながら、観客は大いに和み、さださんが最初の曲を歌う予定時刻が20分押しに。

最初にさださんが選んでくださった曲は《償い》でした。澤学長のヴァイオリンとさださんの歌声。二人のアンサンブルに、是非ともレコーディングしてほしいとの声が聞かれました。

続いて、藝大学生の構成による「和樹の部屋アンサンブル」が華やかに登場し、学生も交えながら《シラミ騒動》の曲目説明がありました。

「ドレミファソラシド」という音階名を歌詞として、音楽を作っていくもの。そもそもは、東京藝術大学音楽学部の前身、東京音楽学校出身の團 伊玖磨先生と芥川也寸志先生の曲。その続きを、さださんが作詞作曲したものです。

藝大の先生による編曲アレンジで、厳かな第一楽章となりました。面白い歌詞と厳かな曲調とのギャップに、観客から笑いがこぼれます。

更に、《シラミ騒動第3楽章》へ。ここではサプライズです。観客に予め配られていた、さださんの顔、澤学長の顔がデザインされたうちわで。「みなさんも踊ってください」という掛け声のもと、演奏途中から澤学長、箭内先生が踊りに加わり、爆笑の渦となりました。

?さだまさし:《シラミ騒動》 より第1楽章、第3楽章
歌:さだまさし、和樹の部屋アンサンブル 指揮:澤和樹 ダンス:澤和樹+箭内道彦

《シラミ騒動》の後は、澤学長が作曲した《さだまさしの名によるワルツ》。澤学長から曲目解説がありました。

「今回、シラミ騒動第1楽章を藝大らしくバッハ風にアレンジしましたけれども、バッハの晩年の曲で「フーガの技法」って言うのという曲があります。未完成で終わっていまして。その一番最後にですねBACH(ベーアーツェーハー)って自分の名前を音に置き換えて、そこで曲を終わっているんですよ」と説明。更に続けます。「昔の作曲家は、自分の名前や愛する人の名前の音階を曲に入れたりしていたんですね。それで、私は愛するさだまさしさんのために、《さだまさしの名によるワルツ》という曲を作曲しました。」

さださんは、とても幸せだと喜びつつ、「SADAですね。Eのフラット(エス)と ADA(アーデーアー)ですね。ちょっと怖い音ですね」と鋭い指摘。

実際に、その怖い音を澤学長が奏でます。「そうです、減5度です。中世には、悪魔の音程と言われました。このEs(エス)とA(アー)でできる音。(弾いて見せる。火曜サスペンス劇場のCM前のテーマ)」

更にさださんから、「先生、まさしの『ま』はどうするんですか? Mはないですね。」という鋭いつっこみ。「はい。MAはないので、『間(ま)』ということで休止符です」と澤学長からの回答。さださんからも、観客からも笑いと伴に、感嘆の声が上がります。

?澤和樹:《さだまさしの名によるワルツ》 Vn?澤和樹、和樹の部屋アンサンブル

~~~~~~~~~~~~ 休憩 15分 ~~~~~~~~~~~~

今回のコンサートで、さださんと澤学長とのご縁を取り持ったのは、MCを務める箭内教授。箭内教授が事前に伺った、さださん出演の条件が、「澤学長の前でヴァイオリンは弾かない!」でした。ですが、澤学長は「さださんがデビュー当時を、よく覚えており、何と素敵なヴァイオリンの音だろうと。未だに耳に残っている」とさださんを絶賛し、ヴァイオリンでの共演を熱望しました。

?さだまさし:《精霊流し》 歌 &Vn さだまさし Vn 澤和樹 Org 廣江理枝

演奏後さださんから「この歌を書いた時に、まさかいつか藝大の奏楽堂でヴァイオリンを弾くなんて想像しませんし、藝大の学長先生と一緒にデュエットするなんて。人生って何が起こるか分からない」と語り盛大な拍手が送られました。

箭内先生から「つぎの曲はさださんが一番嫌がっていた曲です」と紹介があり、さださんの生涯初めてのヴァイオリンの伴奏ギター秘話が語られました。「一度も納得いく演奏ができたことがない」と嘆くさださんをよそに、澤学長は「はい!採用!」と。半ば強引に進めてきた企画。

演奏後、余韻をかみしめるような一瞬の静寂をおいて、万雷の拍手でした。

? パガニーニ:《カンタービレ》 Vn澤和樹 Gtさだまさし

最後は《風に立つライオン》です。さださんからこの曲が書かれた背景、誰かの役に立てればという願いについて、一方澤学長からは、本学の取り組みについて、本公演の収益は奏楽堂他の施設整備に充てたいことなどが語られました。

箭内先生から「さださんには是非藝大に教えてきてほしい」という提案もあり、さださんから「話芸」なら…と謙遜しつつも、作詞作曲についての話や、澤学長とコラボなどの話が飛び出し、話が盛り上がり、第2弾への期待が膨らむ中でフィナーレを迎えました。

【フィナーレ】?さだまさし:《風に立つライオン》
歌:さだまさし Vn 澤和樹、和樹の部屋アンサンブル Org 廣江理枝

《風に立つライオン》の音楽に合わせ揺れるサイリウム


【アンコール】?さだまさし:《北の国から 遥かなる大地より》歌&Gt さだまさし 
Vn?澤和樹、和樹の部屋アンサンブル

(さださん、箭内先生、アンサンブル退場)澤学長一人舞台に残り。

澤学長セリから退場!!!

写真撮影:進藤綾音

>>「和樹の部屋」第一回打合せ